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秘密結社「セティ」事件②

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取り調べ中の拷問 

2018年1月から2月、フィリンコフとシシュキンの逮捕後、社会オブザーバー委員会は拘置所を訪れ、拷問の実態調査をした。人権活動家は、二人から電気ショックの火傷跡と殴打の痕跡を確認。医者はシシュキンについて眼窩下壁の骨折、多数の鬱血や擦過傷を診断した。

『捜査機関ではなく、細部まで完全に調査する機会もなく、またシシュキンから拷問の正式な直訴状もないが、オブザーバー委員会は、これらの証拠を持って、連邦保安庁ペテルブルク支部で二人に対し拷問があったと確信する』(オブザーバー委員会報告書より)

2018年4月、捜査委員会は、フィリンコフの保安庁職員に対する拷問の告発について、立件を見送った。委員会は、フィリンコフがバスから逃亡を企てた際に保安庁職員が電気ショックを利用したことについて、違法性はないと判断。2018年8月16日ペテルブルク軍事裁判所も、フィリンコフからの不捜査への異議訴えを却下した。

2018年5月、捜査委員会は、証人としての取り調べ中イリヤ・カプスティンが拷問された件についても立件せず。捜査員によると、カプスティンの体に残った傷跡の一部は保安庁職員の正当な手続きによるもの(カプスティンも移送の際に逃亡を図ったという)で、腹や股の痕跡は電気ショック痕ではなく、虫に喰われた結果だという。

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2019年5月、ネットにプチェリンツェフへの拷問の詳細が掲載された。

2019年5月22日、プチェリンツェフはペンザの軍事裁判に拷問の申し立てをした。

『10月28日、拘置所初日。自分は"タイタニック棟"の拘置部屋に連れてかれなければならない筈だった。が、僕は部屋に連れてかれて、鍵をかけられた。2分後、6人か7人の連邦保安庁職員が入ってきた。内二人は保安庁の軍服を着ていた。それまで僕の護送をしてきた職員もいた。平服の職員もいた。そして「服を脱げ」と言われた。こういう状況が初めてだったから、何も想像せず、何か観察されるのか、自分は清潔だしなと思って。服を脱いだら「ベンチに座れ」と言われた。座って、そしたらガムテープで足をベンチに巻きつけられて、そこで理解したんだ、ああ、失踪って書かれるんだって(※拷問で死ぬと思った)。カバンからダイナモ発電機を出して、机の上に置いた。全員目出し帽と医療用手袋をしていた。腕を背中にテープで固定され、僕はパンツ一枚で足はベンチに巻かれてた。アレクサンドルという職員が、カッターで電極を削って、僕の足の親指に括り付けた。』(インタヴュー記事HP:ロシア語)

大統領付属人権委員会委員長フェドートフは在職中、保安庁長官ボルトニコフに直接面会し、セティ事件に関して拷問の有無を調査するよう依頼したが、特に何も実施されなかった。

moscownews.hatenablog.com

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