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百日咳の流行

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ロシアの百日咳の患者数が1年で40%増加し、その大部分はモスクワで確認されている。保健省の主任疫学者は、主な原因は、親が子供への予防接種を拒否していることにあるとした。

2019年ロシアの百日咳患者数は14,406人、2018年の10,421人に対し40%増加。2017年と比べると2,7倍になる(消費者庁感染症課のデータ参照)。

2020年1月の患者数は1758人で、大部分の89%は14歳未満の子供だ。

百日咳の予防接種は人口の95%以上で実施されているにも関わらず、国内の罹患数は増え続けていると、保健省疫学者兼科学アカデミー会員のニコライ・ブリコが話した。彼によると、三分の一子供たちは3回の予防接種を受けており、約半数は未接種である。予防接種予定表によると、百日咳は三ヶ月、四ヶ月半、1歳半で接種することになっている。

『現在では、予防接種から4−5年で免疫が下がり、百日咳にかかりやすくなると考えられています。これに関連して、ロシアでの百日咳患者の半分以上は3歳から14歳となっています』(ブリコ博士談)

ブリコ博士によると、患者数増加の原因の一つは子供が適切な時期に接種してないことにある。『統計分析によると、2014-16年の1歳のワクチン接種率は50%以下、必要な水準は95%だが、地域によっては2歳でも水準に達していない』。博士は、親が予防接種を拒否していること、またワクチンを適切な時期に接種してないことが罹患増加を引き起こしたと考えている。

2019年1月の患者の4分の1はモスクワで発症した、と消費者庁のデータで分かっている。博士によると、サンクト・ペテルブルク、ヴォロネジ州ではさらに感染率が高い。百日咳が観察されていないのはネネツ自治管区、カラチャイ・チェルケス共和国、ユダヤ自治州、チュクチ自治管区だが、ただ数字が報告されていないだけかもしれない。

2019年6月、プーチン大統領は政府に2035年までの感染症予防接種戦略を策定するよう指示。最優先課題として、国内企業が指定予防接種ワクチンを国内拠点でフル生産することをあげた。

2020年1月健康省副大臣だったクラエビィは、医薬品会社がロシアでワクチン生産を開始することで、予防接種予定表は充実すると語った。そのほか、2024年からヒトパピローマウィルスのワクチン接種が始まる。

以前、保健省予防医学専門家ナマゾヴァ・バラノヴァは百日咳、ロタウィルス、人パピローマウィルスに対するワクチンの再接種が予定表に入っていないことについて懸念を表明していた。

ロシア国立研究医科大学の小児科准教授フェドセンコによると、百日咳発生増加の主な理由は、予防接種予定表の不完全性であり、加齢に伴うワクチン接種がないからだとしている。

『国内の予定表通りに受けた子供たちは最後の百日咳ワクチンを1歳半で接種し、6−7歳になる頃には抗体がなくなります。結果として、百日咳の波は小学校低学年です。青少年や大人は一度百日咳に感染すると抗体を獲得します。一番厄介なのは、これらの人々がАКДСワクチン(ロシア三種混合ワクチン)未接種の赤ちゃんへの感染源となりうることです』准教授は、一度罹患しても、抗体が一生続くわけではないと付け加えた。

准教授によると、予防接種拒否や推奨接種スケジュールを守らないことは百日咳の疫学的問題の原因である。

出典記事はこちら 

※国立感染症研究所所によると、2019年1月1日から12月29日までの日本国内の百日咳報告は16,785人。

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